2015年の変更点
スチュワードシップコードやガバナンスコードがどうたらで、日本株が大きく変貌している。
株価は通常、PER×EPSで表現。
今年の4月から法人税実効税率が減少し、それにともない予想EPSは上昇しやすくはなっている。一方で、受け取り配当課税の強化が法人税低下による税収減の穴埋めのために活用されている。
以前までは、持ち株比率25%未満であれば配当課税は50%、持ち株比率が25%以上であれば非課税だったが、2015年度からは、0~5%未満の持ち株比率では80%課税、5%~33.3%未満は50%課税、33.3%以上の持ち株比率で非課税扱いとなっている。
持ち合い株式(馴れ合い)で株を保有している企業には税負担を多くし、持ち合い株式の魅力を低下させ、新しい株主を入れることでガバナンスの強化を図ることが狙い。銀行は通常5%以上の株保有が制限されていることから、実質の増税扱いとなるため、この施策による持ち株保有の売却が懸念されている。
みずほ証券のデータでは、3メガバンクの持ち合い株式保有金額は10兆円程度とされており、
これが市場で売却されれば日経平均の下押し圧力が掛かる。(ちゃんとセーフティネットは用意されている)
2013年までの株式保有割合の比率は、外国人が26.9%(現在は28%超)、そして事業法人の保有と個人の保有と続く。事業法人は持合いと自社株買いによる保有のため1985年から比率にそう大きな変動は見られない。一方で、生保と都銀・地銀はそのシェアを大きく落とし、結局日経平均の下落の主因はこれらの業種によるものであることがわかる。また、生保と都銀、地銀の持ち株の売却はそれぞれソルベンシーマージン比率の導入や、BIS規制により資産圧縮を迫られた結果であるため、構造的な問題であるといえる。しかし、もう生保も都銀・地銀も売れる床まで売ってしまい、売り物が出なくなった。今回の配当課税による株式持合いの解消への圧力は、ゆうちょ銀行やかんぽ生命の買い(13兆円程度)や、企業の自社株買いに吸収させるつもりなのだろう。
経団連、御用達新聞の日経新聞は予想一株利益の算出方法を変更している。
以前までは、純利益を発行株式総数で割ることで一株利益を算出していたが、これからは自社株買い分を排除した発行株式数で一株利益を算出するため、自社株をやればやるだけ、一株利益が大きくなる。よって、株価/一株利益(EPS)=PERのため、EPSが大きくなればPERは低下し、以前よりも割安度が増すのが特徴である。そのため、自社株買いを配当よりも大きくするインセンティブは生まれやすい。
2006年まで自社株をしてこなかったキャノンだが、2007年から2014年の8年間で自社株買いを1兆円程度まで増やし、発行済み株式数の18%を自社株買いとして金庫株としている。これを、2020年までに自社株買いの比率を30%まで引き上げるようだ。これにより、ROEを高めることにしている。キャノンは、キャッシュが豊富な内に自社株買いをすることで株主還元に力を入れていた。(デフレのため、実質金利が上昇していたため内部に資金を置いておけば価値が向上した)その結果、自社株買いによる金庫株が滞留し、配当に回す資金を大きく節約するのに役立っている。(御手洗会長が言うには、キャノンの配当利回りは3%超えであり、金融機関に預けるよりも相当に金利収益が生まれるという)そして、将来自身が持つキャノンの自社株を活用してM&Aに乗り出すようだ。通常、自社株買いにより眠っていた金庫株が市場に放出されると、その分ROEが低下するが、企業買収による成長率によりそのデメリットを補うものである。(相当に頭キレル)
あ、まとまんない。
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