2016年問題

ドル円の底堅さも日経平均のトレンドラインからの乖離を消化するために待ちの状態であったと仮定すると、それもまた趣深い。しかし、トレンドライン上で反転とか何だよそれ。

2012年11月15日(野田解散)からスタートしたアベノミクス相場は、2014年10月30日の黒田バズーカ2を経て一気に乖離したものの、中国問題や原油下落に伴うデフレ圧力によって瀬戸際の水準に落ち込んできている。


ドル円に関しては、2016年問題が発生するため2015年末までは利益確定売りで円高局面が出てくる可能性が高い。エリオット波動分析では、6月5日からabc調整が終了していると見ることも可能であるものの、個人的には現在の持ち合いをx波のtriangleと考えたい。

外貨MMFを単価100円で10万ドル分保持している場合、現在120円で決済すれば200万の為替差益が発生し、かつこの利益に関しては非課税となる。一方で2016年以降では、同じ200万円の為替差益に40万の税金が発生するため、益出しのための下落がドル円で発生する可能性を考えている。

個人が多く買い建てを積んだ水準を102円くらいだと想定しているが、リスクオフの円買いという下落が加速する場合、これらの益出しの売りはクラッシュを呼びこむ原資となり得るため、警戒したい。ヘタしたら20円一気に円高に進んでもおかしくはない。



(左軸、米国債保有額、ライン)

(右軸、為替介入規模、棒)

米国では9月末で暫定予算が組めなければ、政府閉鎖~債務上限問題が発生する。さてさて、どうなるものか。

債務上限問題とセットで来るのが為替介入という手。

2011年8月2日に米連邦債務上限引き上げ法が成立、8月4日には総額4兆5129億円の市場介入を行い、円売りドル買いオペレーションを行っている。ドルは米国債保有に変わるため、上記画像のように、為替介入と同時に米国債保有額が増える仕組みだ。

債務上限問題では法定価格を引き上げるために原資が当然必要になるが、民主党政権では、

その後の2ヶ月間で10兆円にも及ぶ為替介入を行っている。

上積みされたドル買いはもちろん米国債保有へと変わる。


対して小泉政権では120円~100円の為替区間で計42兆円規模の為替介入を行っている。その結果、30兆円程だった米国債保有額は70兆円以上に膨れ上がっている。米国では、そのため長期金利が低下し、溢れかえったドルは米国で住宅バブルを促進することになったのは、もう過去の話。

ペッグ制における米国債の無限買いオペレーションは、人民元切り下げに伴う外貨準備切り崩し(=ドル売り)による米国債売却の流れから変化を遂げている。これまで基軸通貨の特権を利用し、なんら不自由なく米国債購入を諸外国に押し付けてきたが、現在のところ素直に応じる同盟国は、「日本」くらいなものだろう。(特に中東の米国離れ、ロシア接近はペッグ制を維持する上で非常に危険なシグナル)


米国債を購入を続けさせる方法としては5つ

1,為替を円高に持っていき、為替介入必須と世論形成させること

2、日本の低金利を継続、かつさらなる金利低下から米国債保有に対するインセンティブを引き上げること

3,コーポレートガバナンスコードやスチュワードシップコードを受け入れさせることで、株主総会などでより強く米国債保有を求める声が上がること。(なぜ低金利の日本国債を保有するのか?米国債のほうが利回りがいいではないか?と言った類である)

4、GPIF、私的年金、ゆうちょ、かんぽなどの資金の米国債への振り分け

5、民間銀行の米国債保有

すでに、2~5は実施済みであり残るは1の政府介入によるドル買いだけである。

一連託生という言葉がお似合いの日米同盟だわ。