1987年
日本で2003年時に発生した長期金利の急上昇の動きと、現在のドイツ金利の急上昇の動きが同じ動きになってきた。
金融機関は、予め保有している債券のリスクを計算し、金利が急上昇する場合に含み損の拡大を阻止するために強制的に債券を売却しなければならない。
その結果、ひとつの金融機関が債券を売り始めると他の金融機関も同様のリスク計算(Var)を採用している場合は、投げが投げを呼ぶ展開になりやすい。
この急騰だからね。金利が上昇すると、そら怖いわけです。
2012年時点のBISのデータではデリバティブは
①外為(対象資産66兆ドル)
②金利(494兆ドル)
③株式(6.3兆ドル)
④商品(2.9兆ドル)
⑤CDS(27兆ドル)
⑥その他(42兆ドル)
計639兆ドル
なのでフルインベストメントしてる場合、1%の上昇が起これば、6兆ドルの逆流が起こるわけで。
ただ、個人的には想定していた通りになってきており大歓迎の動き。
1986年~1988年のドイツ金利の推移と現在のドイツ金利の推移をプロットしたもの。
当時、4月中旬に底打ちした金利は年内通しての上昇推移。
当時はルーブル合意の中。
プラザ合意からの協調介入で極端に進んだドル売りを食い止めるべく、逆にドル買い円売りを行っていた時期。ドイツはマルク売りドル買いのオペレーション。
ただ、マルク売りによってドイツではインフレ進行。インフレを恐れて(戦時中のハイパーインフレの記憶が根強いため)米国の制止を振り切って、結局金利を引き上げた。
金利を引き上げれば、マルク買いドル売りの流れとなり、これまでのルーブル合意での協調介入に意図しない動きとなる。当時もさまざまな思惑があったでしょうが、ドイツ利上げの動きを見て、当時の米財務長官だったベイカーがドル安容認の発言をしたことで、米国債投売りとなり、債券金利が急騰、PER22倍と割高だった米国に投売りが入り、22%を超える下落に繋がっている。
ただ、今回はドイツに関しては政策金利の引き上げではなく、流動性の問題によって生じる金利の上昇によるマーケットの急落を懸念したいわけ。
7月後半からボルカールールの適用が始まる。米銀が自己売買から撤退しておりその影響で、昨年は原油市場で暴落が起きたのは記憶に新しい。(取引参加者が少なくなったからね)
流動性をつけるべく存在していた自己売買も、不在となれば自由落下となるわけでHFは
ユーロ売りとともに原油の売りで大きく儲けを出したと。
問題は今まで必要以上に続いていた債券バブルの行方。
米国債<スペイン債<ポルトガル債といったように、以前は南欧債はマーケットのリスクでしかなかったのに、今じゃECBのQE発言によって米国債よりも安全な投資先となってしまった。(ドイツ国債の投売りのため、今ではようやく、ポルトガル<米国とはなったけれど)
自己売買部門がいなくなれば、流動性の問題、投売りが出たときの市場の買い支え役としての機能を失うわけなので、ドイツの国債投売りから始まったこの金利上昇の動き、まだまだ続いていて、今年の夏以降は大波乱ありそうな予感が匂うね
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