中国の仕組みとクラッシュ

米国の基軸通貨という安心感と連動させる仕組み(ペッグ制)のおかけで、中国や新興国は貿易が円滑にできるようになった(貿易をする際、人民元やインドルピーを他国が受け取ってもそれをドルと交換できるという安心感から円滑な経済活動が行われてきた)

ただ、その連動性を維持するためには中国やインドのような国は、自国通貨を大量に売って、ドルを買うといった大規模な為替介入が必要である。そして、為替介入によって得たドルをそのまま持っていては金利が付かないため、米国債に換えるというオペレーションが繰り返されてきた。この仕組みのおかげで米国は、国債を買ってくれる国がいるために放漫な財政を続けていくことが可能だった。

ドルペッグ制


これまで、英国を筆頭に先進国はQE(量的緩和)を続けてきた。その結果、行われてきたことと言えばただ一つ、株価下支え効果があったということだろう。米国を例に採れば、FRBが国内市場から債券など(米国債、MBSなど)を買い取り、資金を供給し、供給された資金を手にGSやモルガンなど一部有力投資銀行などが、毎週火曜日にPOMOと呼ばれる株価上昇操作を行ってきたのはよく知られている。

現在では、欧州、日本と量的緩和を続けているが、今年のパフォーマンスで絶好調な国はあまり気に留められていないがドラギ総裁の出身国であるイタリアである。年初来からのパフォーマンスは18%近い上昇というわけだからなかなかイカレている。


そして問題は上記図におけるドルとペッグ制を敷いている国々の今後の動向である。

これまで、新興国は米国の基軸通貨という安心感と連動させる仕組み(ペッグ制)のおかけで、円滑な貿易ができるようになった。また安い商品や人件費を武器に他の先進国と比較して競争優位に立ち、シェア拡大を図ってきた。そして、貿易によって得た外貨を(ドル)を内部留保するなり、設備投資に使うなり、預金として補完してきた。(預金として銀行に預けられたお金は間接的に米国債投資に回るか、株投資に回るかされているけども・・・)


さて、問題はここからで、米国とのペッグ制を維持するためには大量の自国通貨を売ってドルを購入する必要があった。(米国ドル安がこれまで基本だったため、自国通貨を連動させるためには自国通貨を大量に売る必要があったからだ)おかげで、米国は自国通貨安政策を採る限り(量的緩和によって、ドルをじゃぶじゃぶにする政策)、ペッグ制国が米国債を購入する仕組みが出来ていたわけだ。そのため、米国金利は低下を続けてきた(債券の謎と呼ばれる現象)通常であれば、ドルをじゃぶじゃぶにすれば、金利は上がるはず。ドルの需要よりもドル供給が増えれば、金利を引き上げてドルの魅力を高める必要が出てくるから。今、それが起こらないのはドル需要者が供給者よりも多く、その要因が上記仕組みが働いているからである。

しかし先日大きな事件が起きた。

それは8月11日に中国市場で人民元が切り下げられたことだ。

人民元切り下げの影響と韓国大崩れの予感 のなかで取り上げたが人民元が他国の通貨と比較して高くなりすぎたため、急きょ輸出業者の競争力を高める名目で中国は人民元を切り下げた。(為替介入という形ではない、人民元安政策)

その結果何が起こったか?

中国国内で資本流出が加速してしまい、中国当局は、これを阻止するために保有している外貨を売って、人民元を買い支えるオペレーションがなされた。つまり、米国債を売却してその資金でもって人民元を支えるということをやり始めた。これまで、米国債を購入することで中国側から米国に対し融資する形で資金供給を行っていたわけだが、この逆流が生じたのがこのところの株価急落等の一連の流れである。

世界的な株価安によって、資金逃避マネーが米国債に流れ込んだため米国債の変動に大きな動きは見られなかったが、相当に大きな出来事である。今後本当に今までのペッグ制を維持する形で中国が米国債を購入するのか?多少の疑問が残る。中国が米国債を買わないのであれば、ついに来た。日本の出番である。

以下理由は下記リンク

債券の恐怖指数

中国も形振り構ってはいられない。米国がどうなろうと知ったこっちゃない。そして、今回は年金運用の一部を株に投入するという暴挙に出ている。まぁ、日本もだけど。リバウンド後、さらに値を沈めるか、分岐点だろう。

上海ショック

一方で米国は、こちらも岐路に立たされている

金利引き上げなし?QE4へ

1か月前倒しの下落が発生したことで、これまでの金利引き上げ論は後退した。


白:1987年 黄:2015年

とにかく今年は稀有な年である。日本のカレンダーでは1998年と1987年とカレンダーの日柄が同じであり、ユダヤ歴では1966年~2008年までこれまで7年サイクルというクラッシュ相場が出現している。

まぁ引き続き、警戒ということですな。クラッシュは予定通り起きているのでね。